紫苑(シオン)花言葉:「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」
読売新聞2015.8.10朝刊 編集手帳より引用
壮年のシナリオライターは、12歳の時に死別した両親と出会い、心安らぐ日々を過ごす。やがて別れの時がきて、息子は自分は良い夫でも父でもなく、ろくな仕事もしてこなかった、と打ち明ける。だが、両親は優しく声をかけた。
「あんたをね 自慢に思っているよ」「そうとも。自分をいじめることはねえ。手前で手前を大事にしなくて、誰が大事にするもんか。」
山田太一氏の小説『異人たちとの夏』は、あの世の両親に、子どもが生きる力をもらう物語である。
全国の地域でお盆を迎える。お墓参りをして、ご先祖様に近況や悩み事などを報告し、自分自身を見つめ直す人も少なくないだろう。
戦後70年の節目のこの夏は、平和のありがたさをかみしめ、豊かな日本を築き上げた先人たちに感謝する機会ともしたい。
米国の作家ウィリアム・ケント・クルーガー氏の小説『ありふれた祈り』に、生きている我々と死者に関する言葉がある。
〈違いはひと息分もない。最後の息を吐けばまた一緒になれる〉。
折に触れて、自らの死生観とむきあう。そういう季節である。
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こんにちは。
お盆の時期となりましたね。
お墓に参り手を合わせますと、本当にご先祖様にお会いしている気がするものですね。
昔はご先祖様と聞いても、会ったことのない知らない人という感じでしたが、共に過ごした祖父母や叔父などがあの世に旅立ってからはとても身近に感じ、懐かしさと共に「いつも見守ってくれてありがとう」と感謝の気持ちが湧き上がります。
そしてその度に、あの亡くなった時のまま永遠に歳を取らない死者と、今を生き続けている自分の間にある時間と空間の隔たりに奇妙さを感じ不思議な感覚に陥るのです。それは、ミーンミンと騒がしい蝉の声から来るのか、たくさんのお供え物の熟れた果物の匂いとゆらゆらと立ち上るお線香のけむりから来るものなのか・・・。
今年は戦後70年。
そして、昨日は日航ジャンボ機事故から30年。
あの日母のお腹にいた子供は30歳となり、亡き父に会いに御巣鷹山へ。
「あの時のオヤジの歳と同じになり、これから先もしっかりと生きていこうと思った」というのを聞き、立派に育てられたお母様のご苦労を思うと、やはり30年は長かったのだなと思いました。
30年経っても、あと何十年経っても、遺族の悲しみが薄れることはないのでしょう。
遺族も高齢となり、山へ会いに行けなくなった人も多いといいます。
生きている人と死者。
〈違いはひと息分もない。最後の息を吐けばまた一緒になれる〉
そのひと息分もないほど、ふたつの空間は実は寄り添い合っている。
そしてそれは、ふっと息がかかるほどすぐそばに居てくれているということでもあるのでしょうね。
だから寂しくないのですよ…。
歌手の坂本九さんも犠牲となられましたね。
『上を向いて歩こう』は世界各国で歌われ、人々を励ましてくれる歌。
辛い時でも上を向いて笑顔でいると、きっとこんな声が聞こえてきそう。
「あなたをね 自慢に思っているよ。自分を大切に・・・」
私もお墓参りのためこれから帰省します。
✿ご先祖様によろしく。穏やかな一日を✿(*^_^*)